社交不安障害・対人恐怖症

 この疾患の概念は、日本では従来「対人恐怖」と呼ばれていたもので、他者から注目されたり批判されたりすることを強く恐れる(必要以上に恐れている点は、本人も自覚している)、不安を誘発する社会的場面(会議、プレゼンテーション、会食など)を回避しようとする傾向が顕著なため、社会機能に大きな支障を来している状態のことです。症状は、他の不安・恐怖症と共通のものが多いですが、とくに赤面、手の震え、声が出ない、頻尿などが特徴的です。対人恐怖の類似概念に、赤面恐怖、自己視線恐怖、自己臭恐怖、醜形恐怖など(いずれも、他人に不快感・嫌悪感を与えているのでは、という不安・恐怖)があります。

 治療は薬物療法(抗うつ薬、安定剤など)と精神療法(支持的精神療法、認知行動療法、系統的脱感作など)の併用により行われることが多いです。